訪問看護ステーションひのき 全体研修Vol.13

〜在宅における苦情・クレーム対応に必要な考え方と対処方法〜
2022年9月6日にひのき全体研修第13回目が開催されました!
今回の研修内容は、
「在宅における苦情・クレーム対応に必要な考え方と対処方法」です。
苦情とクレームはどうして起こるのか。
心構えや対処方法についてお話ししています。
苦情・クレームが起きる際の心理状況なども踏まえ、
正しい対処ができるよう日々心がけておきましょう。
クレーム対応についての考え方を振り返る
「クレーム対応」と聞くと、怖い・面倒くさい・申し訳ない、など
マイナスなイメージが先行しがちですが、
目指すべき看護・リハビリができるようになるためには大切なものです。
いただいた言葉を真摯に受け止め、
知識・技術・経験を繰り返し磨いていく事が大切です。
苦情・クレーム対応に関する知識・考え方・心構え
在宅サービスにおける前提
居宅サービスは接遇やサービスで質の高さが求められます。訪問して行うサービスの場合、施設サービスとは違い、
ご利用者様・ご家族の生活圏に入っていき、ご本人だけでなく
ご家族の前でもサービスを提供しなければなりません。
ご利用者様は気にしていなくても、ご家族が気に入らないというパターンもあります。
訪問サービス従事者は、施設サービス以上に接遇やサービスの質を
求められる環境であると言うことを認識しておかなければなりません。
苦情・クレームの背景の理解と心構え
<満足、不満足の考え方>私たちが一般的な買い物をしたり、
ホテルやレストランを利用する場合でも、
期待した水準の商品やサービスを受けられなかった場合、
不満を伝えたり、品物の取り替えや払った代金の返金を請求することがあります。
同じように不満に思っても、すべての人が苦情を言うわけではありません。
ひとつの苦情の陰には同じような不満を抱いている人が
多数いるかもしれないと考えるようにすることが必要です。
<欲求の種類>
ご利用者様の欲求には種類があり、
医療や介護の分野においては、一般的なサービスに近い項目と
医療や介護の専門性が高い項目があります。

苦情・クレームの背景の違い
<苦情>不満や不快な状況を理解して欲しいという「心理的補償」を求めるもので、
尊厳欲求や愛情欲求・効率・便利性欲求が満たされないときに生じやすいもの。
<クレーム>
弁償や代償をして欲しいという「実質的補償」を求めるもので、
機能・品質欲求や経済的欲求が満たされないときに生じやすいものです。
さらに、効率・便利性欲求が満たされず、消費者が何らかの実質的な被害を被った場合には、
弁償や代償を求めることもあります。
「苦情」と「クレーム」対応は組織全体で取り組む
苦情やクレームは最初の対応がとても重要です。最初の対応で親身になってもらえなかったり、たらいまわしにされると、
必要以上に大きなクレームに繋がることもあります。
また、クレーム発生状況に直接関わっている人ではなく、
言いやすい他のスタッフに苦情を言うケースもあります。
この場合、苦情やクレームが自分の職務と直接関わりのない内容であっても、
相手からすれば同じ組織の一員です。
自分は知らない、では済まされなくなってしまいます。
逃げたり、言い訳をせず迅速に対応しなければなりません。 対応が困難なケースのときなどは、すべて負担を背負おうとせず、
早めに周囲に支援を求めましょう。
最初は心理的補償から

次に、相手が何を求めているのかを理解しできるだけ早い段階で、
心理的な補償を提供することが大切です。
実質的な補償については、現実には相手が求めている通りに
対応できないことが多々あります。
いくら実質的な補償をしても、心理的な補償が十分されていなければ、
本当の不満の解決になりません。
心理的な補償が満たされると、その後の解決に向けて
相手の方にも協力してもらえる関係を築きやすくなります。
気持ちの切り替えが大切
どんな職場でも、苦情やクレームを訴える方の中には、理不尽な要求をし続けたり、対応者を傷つける言動をとったりすることがあります。
そのようなときは、自分の対応の仕方が悪いのではないかと自分を責めたり、
がんばり過ぎない姿勢も必要です。
また、対応困難な苦情やクレームに接しても、
そのことを気にしないで他の業務に取り組めるように、
気持ちの切り替えができるようにしたいものです。
苦情やクレームの先にあるものを大切に
医療や介護のケアや支援は、形に見える商品ではないので、一度サービスを提供した後にやり直したり、取り替えることはできません。
したがって、苦情やクレームが発生したときは、
発生した原因や状況を分析し、再発しないよう対策を講じることが重要です。
苦情やクレームは、被援助者が何らかのメッセージを発信してくれていると考え、
問題点の改善やよりよいサービスの提供に前向きに取り組みましょう。
そうすることで被援助者にとっても働く援助者にとっても、
ストレスの少ない環境になるものです。